整形外科 村上医師インタビュー

副院長 整形外科部長村上正純
目の前の患者さんを 身内だと思って 痛みに寄り添いたい
生死をさまよう体験から、
人の痛みのわかる整形外科医を目指す

私の専門は整形外科で、脊椎と脊髄、手の神経に関わる疾患をずっとライフワークとして扱ってきました。以前勤めていた病院では、脊髄腫瘍が専門でした。よくある症例としては椎間板ヘルニアがあって、これまでは主に若い人がかかりやすいといわれていましたが、近年では手術をする例はほとんどありません。

その一方で増えてきているのは、中高年に多く見られる脊柱管狭窄症です。症状としては、歩くと足がしびれたり痛くなったりして歩けなくなってしまいますが、休めば歩けるようになるものです。当院にいらっしゃる患者さんの中には、これまで痛みやしびれをがまんしてきた人が多く見られ、適切に診断してきちんと治療することで改善するケースは多いです。

私がそもそも医者になったきかっけは、幼少時の体験にさかのぼります。私は東京・渋谷区育ちで、野球少年でした。あるとき、ボールで遊んでいたところ、自宅にあった練炭の側で大やけどを負い、生死をさまようほどの体験をしたことが、医者になる大きなきっかけとなりました。そうしたつらい経験から、患者さんの痛みやつらさにいかに寄り添えるか?という医者としての礎が作られたと思っています。

患者さんにとっての一生涯の“かかりつけ医”として

病院に来て治療を受けた患者さんが改善するケースは多いですが、実は私たち医者が印象に残りやすいのは、困った症例なのです。とくに脊髄腫瘍の患者さんの場合、神経を傷めてどうしても体に麻痺が残るケースが多いため、患者さんと一生のお付き合いをする覚悟で治療に臨んでいます。

私が医者として大切にしていることは、「最後までよく診てあげる」「患者さんに寄り添う」ということです。中には、手術をしたらその後の経過をあまり見ない医師もいます。でも私は、自分が手術をした患者さんは一生面倒を見る覚悟やスタンスで日々治療にあたっています。これまでいくつかの病院に赴任してきましたが、私が病院を変わっても来院される患者さんと長いお付き合いをすることも多いですね。

患者さんと接するときは、常に身内だと思って

研修医時代に思い出深いのは、医大を出てまだ間もない頃、先輩医師に言われたアドバイスです。外来で顔を切ってしまった少女の傷口を縫うとき、まだ処置に慣れない私は緊張していました。そのとき先輩医師に心構えとしていわれたのは、「女の子の顔を縫うんだから、自分の娘がケガをしていると思って縫いなさい」ということです。この先輩には、医師としての大切なスタンスをたくさん学びました。

今でも外来にはあらゆる患者さんがいらっしゃいますが、たとえば腰が痛いと訴える患者さんが来たときに、自分の身内だったらどうしてあげるのがベストかな?というふうに常に考えるようにしています。

日々の治療の中での新しい発見

長年医師をしている中で、昔は珍しいといわれていた病気が、意外とそうではないことがわかるなど、新しい発見をすることもよくあります。たとえば、寝違えて首が痛くなることがありますよね。当院にもそういう患者さんは大勢来ますし、処置としては安静にして湿布をするくらいの軽い症例ですが、そうした中に、別の重大な症例が隠れていることがあるのです。

そのひとつとして、偽痛風があって、当院に2019年4月に赴任してきてからすでに3例診ています。レントゲン検査だけでは見落とされやすく、他院で見逃されているケースも多いのです。その点、当院では他科との連携がとれていて検査が迅速なので、疑わしい症例をすぐにCTでチェックすることで、的確な診察につながっています。

術後のリハビリや予防医療にも尽力

当院の施設はほぼ最新のものが揃っていて、整形外科の設備もスタッフも十分に整っています。一般的に麻酔科の先生が不足していることから、専属医がいない病院も少なくありませんが、当院では優秀な麻酔科医も揃っています。手術をする環境としても恵まれた環境にあると思います。

もちろん、手術をしたら終わりではなく、リハビリテーションも重要です。その点、当院では各階にリハビリルームが完備されています。体が思うように動かない患者さんにとっては、移動だけでも大変なものですが、動線を考えても良好な治療環境にあります。

おゆみの中央病院まわりのエリアは、昔から住んでいる人と新しく移り住んで来た人が入り混ざり、昔から住んでいる人の中には、これまで痛みやつらさをがまんしてきた人も多い印象です。その点、2014年に当院が新しく開院したことで、地元のみなさまの心強い味方として期待が寄せられています。私は2019年の4月に赴任してきたばかりですが、そのご期待に応えられるよう、患者さんに寄り添いながら、これからも尽力していきたいと思っています。

それから、現在、高齢化社会にともなって、骨粗鬆症の患者さんが増えている一方で、まだまだ治療を受けずにいる患者さんが埋もれていると思われます。骨粗鬆症の治療をはじめ、骨折予防にも目を向けた総合的な治療にも今後は注力できればと考えています。

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村上 正純
副院長 整形外科部長

略歴

学歴
  • 千葉大学医学部 卒業
  • 千葉大学大学院医学研究科
    博士課程修了
  • 米国UCSF留学
職歴
  • 千葉大学医学部附属病院 整形外科
  • 金沢病院 整形外科
  • 文部科学教官
    千葉大学医学部付属病院整形外科学
  • 千葉市立病院 整形外科部長
  • 千葉市立青葉病院 副院長

資格

  • 医学博士
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会認定医脊椎脊髄病医
  • 日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医